2017年9月1日、札幌市営地下鉄さっぽろ駅にある南北線-東豊線乗り換え通路の柵撤去に伴って、南北線-東豊線の乗り換え方法が変わったと交通局がアナウンスをしている。また、車内アナウンスでも乗り換え方法について案内されるようになった(詳細は動画参照)。乗り換え通路の途中に改札を設けることで、今まで改札内と改札外を分けていたスペースを切符の所持に関わらず通過できるようにして、さっぽろ駅での流動性をよくした。これからは切符を所持していない場合でも、乗り換え通路を迂回する必要がなくなるというメリットもあるが、実は改札が設置されたことで大きな落とし穴がある事を忘れてはならない。
南北線-東豊線乗り換えの落とし穴
柵撤去によって、さっぽろ駅が使いやすくなったと喜んでいるところに水を差すようだが、実は落とし穴がある。
今までは南北線-東豊線の乗り換えの際には大通駅、さっぽろ駅のどちらで乗り換えても差し支えなかった。しかし、これからは南北線-東豊線乗り換え駅が指定される場合があるのだ。もし、指定されていない駅で乗り換えてしまった場合、追加料金が発生する。
追加料金が発生する条件は下図に示した経路のように、さっぽろ-大通間のような重複区間がある場合である。下図の経路だと、さっぽろ-大通間が重複している。例えば麻生駅から栄町駅まで乗車する場合を考える。さっぽろ駅で乗り換えた場合、さっぽろ-大通間は重複しないので追加料金は発生しない。しかし、大通駅で乗り換えてしまった場合、さっぽろ-大通間を2回通る、つまり重複するので追加料金が発生してしまうのだ。
大通には改札がないのにバレるワケ
さっぽろ駅で乗り換える際は、前述のように改札を通らなければならない。したがって、さっぽろ駅で乗り換えた場合、『さっぽろ駅で乗り換えた』という記録が残る。だから重複した経路を利用した場合は追加料金を徴収されるのは誰にでもわかる。しかし、重複した経路を利用しても大通駅で乗り換える場合、「改札を通らないんだから、重複した経路を利用してもバレないだろう」と考えたことはないだろうか? 結論を言うと、"バレる"。
確かに大通で乗り換えれば改札を通らない。だが、大通で乗り換えることでさっぽろ駅の改札で与えられる『さっぽろ駅で乗り換えた』というあるはずの記録が残らない。このことから、大通で乗り換えたのでさっぽろ-大通間を重複して乗車したというのが分かるのである。
記録が残る、残らないの違いがあっても、「ないはずの記録がある」、「あるはずの記録がない」ということで重複区間があるか否かを出場の際に判断できるのである。
結局便利になったの?
今回の乗り換え方法の変更で、結果的に便利になったのか、筆者なりに考えてみた。
【便利になった点】
- 今まで迂回する必要があった場所が、迂回しなくてよくなる
- 北改札口でも乗り換えられるようになった
【不便になった点】
- さっぽろ駅で乗り換える際に改札を通るので、切符を出し入れする手間が増える
- さっぽろ駅では30分以内に乗り換えなければならない
- 乗り換えの際に階段の使用が増える場合がある (真駒内方面→福住方面への乗り換え)
- 普段地下鉄を利用しない人にはわかりにくい仕組み
今回の乗り換え方法の変更について、交通局のポスターのでは便利になったとアピールされている。たしかに、地下鉄を利用せずにさっぽろ駅を地下道としてのみ利用する人には便利になったが、乗換駅としてさっぽろ駅、大通駅を利用する人にとっては不便になった点が多いと言える。
今回、乗換駅が指定されることに、「不便になった」と札幌ではちょっとした話題になっているが、日本全国で見れば、乗換駅が指定されることは多々ある。札幌では重複区間はさっぽろ-大通間しか存在しないが、例えば東京では重複区間がそこら中に存在する。そんな東京では、経路の途中で重複区間が存在しないように経路設定することは日常的に行われており、同一事業者間でも乗り換え時に改札を経由することは珍しいことではない。東京ではもっと乗換駅の指定が複雑に行われている。
今回の乗り換え方法の変更で、電車の運賃の仕組みというものを正しく理解するいいきっかけになったと筆者は考えている。
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